- blackmeansの始まった経緯は教えていただきたいです。
私が岐阜にある革の縫製工場に誘われた時に、製品加工(古着加工)をする人員を探していて、以前働いていたブランドにいた2人に声をかけたのが始まりで、その後、その工場のファクトリーブランドを作る流れになり、
当初は、当時、リスクの高い皮革でものを作ることに対して保守的だった日本のデザイナーズブランドに対して、皮革を使った衣料の可能性を広げる為の提案を目的としたブランドでした。
- なぜblackmeansという名前なのでしょうか?
日本における皮革の歴史を引き継ぐという意味で、古くから日本で皮革の歴史を作って来た人達に対するリスペクトを込めて、彼らが呼ばれていた名称を自分達につけました。
- blackmeansのブランドコンセプトを教えていただきたいです。
日本人としての民族性を、世界中の文化や歴史を通して追求し、独自のスタイルを提案する。
- blackmeansのデザインのインスピレーションはどこからでしょうか?
それぞれが、人生で強いインパクトを受けた音楽やカルチャーから、それぞれの感性を通して、REPAIR、RENEWALしていくという感じだと思います。
・blackmeansは、小松氏、有賀晶友氏、有賀ani氏の三人でご活動をされていらっしゃると思うのですが、その中での担当などはございますか?
デザインに関しては3人共やりますが、誰がどのデザインをしているかは特に公表していません。自分のデザインに対して施す加工は本人が行い、量産時は3人で加工をします。
- いままでレザーでいろいろな作品を作られてきたと思いますが、その中で皆さんの一番のお気に入りはなんでしょうか?
仏ジャン、寅壱さんとのコラボパンツです。コラボアイテムに関しては、印象深いものが多いです。
*仏ジャン:仏具用金具をあしらったジャケット
*寅壱:鳶メーカー(2013AW)
- コインケース、メリケンサックライターケース、シドジャンといったblackmeans の人気アイテムはどのように生まれたのでしょうか?
シドジャンに関してはberberjinという古着屋とのコラボレーションで、シドヴィシャス本人の着ていたライダースが、古着で発見されたという架空の設定で生まれました。
- 現在ではジャパンブランドでも他国での生産をするブランドが多いと思うのですが、その中でblackmeansは日本製だということにとてもこだわっていらっしゃると思うのですが、ブランドをやる上で大切にいていらっしゃることはございますか?
日本でものを作るという事の付加価値を上げる事だと思います。
海外の製品のクオリティも年々上がっていますし、世界中から人件費や物価の低い国への技術の流失を止める事はできません。
例えばコインケースなどの小物は、同じ物を同じように作る事が出来ないように設計に工夫をしていますし、革製品のRELIC加工に関しても、始めた当初、前例のなかった事もあり、自分達が技術を上げながら続けてさえ行ければ、似た事を誰かが始めたり、技術を盗まれるような事があったとしても、経験値で負けない自信は持っています。
そういった事で日本で作るものに対して、独自の付加価値を増やしていく事をいつも意識しています。
- blackmeansは今や、Kanye westを筆頭に様々なジャンルの多くのアーティストに着用されておりますが、PUNKが根底にあるブランドとして、どのように感じますでしょうか?
とても素晴らしい事だと思っています。PUNKに限らず、歴史を持った独特な個性を持ったカルチャーは、保守的になりがちな傾向があるものだと思っています。それを頑なに守る事も大切ですが、それだけだと枯渇して過去の遺物になってしまいます。継続していくには、それを異なるジャンルのアーチストや一般の人達に広げていく事が、それと同じ位必要な事であり、それこそが、そのカルチャーを守っていく事でもあると考えています。新しい事を試みる事や、拡げていく事は、歴史のある文化にとっては攻撃の対象になりやすい事ですが、それが私たちの役回りだと考えています。
- 同じ時代でリアルタイムで見てきたUNDERCOVERで2003SSのSCAB期にクラストパンツなどPUNKを連想させるアイテムがだされました。当時はUNDERCOVERをどのようにお考えだったでしょうか?
第一印象は、私がこだわり、個人的に大切にしていた物を汚された感覚を覚えました。当時私は、自分が好きなCRUSTCOREとファッションの世界を正反対のものとして区別して考えていましたから。しかしその内容を目の当たりにして、納得させられました。その背景として、その当時の私の知る限りでは、CRUSTCOREの文化は衰退して枯渇に向かっていました。あのシーズンによって、その文化が一般の人や、若い人たちに知られる大きなきっかけであった事は、その後の歴史が証明しています。近年、ライブハウスで活動している若い世代のCRUSTCOREバンドの子から、実際にパンクを好きになったきっかけを聞いた時に、UNDERCOVERの SCUBという答えを数人から聞いています。私自身、直接携わったことにより、その後も多くの事を学びました。
- ブランドだけではなく、レザーのOEMとしても活動をされておりますが、どのようなブランドのものを作るのが印象深いでしょうか?
大まかに言うと、既存のものをそのまま作るタイプのブランドもあれば、過去の歴史的価値を持ったものを作るブランド、それを自分たちなりにアレンジして作るブランドのタイプに分かれますが、例えば、既存のものや、一般的なものが好きな人は、シルエットにこだわったり、歴史的なものを作るタイプの人は、過去の洋服の仕様や、素材など、狭く深い知識に長けていたり、ミックスやアレンジがうまい人は浅く広い知識に長けていたり、その3つをバランス良く持っているブランドもあり、ある意味どれも魅力的ですが、その人の情熱を強く感じるものが特に印象に残っています。
- 人生で影響を受けたもの/人物は何でしょうか?
PUNK、JOHN LYDON 、HENRY ROLLINS
- 尊敬する方はいらっしゃいますか?
中川正博さん LICAさん 高橋盾さん
- 好きなブランドはございますか?
自分の携わるブランドと、この厳しい時代に現存するブランドが好きです。
- 今や世界から注目されていらっしゃると思うのですが、負けたくない日本ブランドはございますか?
基本的に自分たちの好きなものがどれだけ形に出来るか?自分らしさがどれだけ出せるか?という部分を重要だと思っているので、他のブランドに、勝つ、負けるという感覚はあまり持っていません。常に 誰よりもblackmeansらしくあり続ける事が大切だと思っています。
- 今後ブランドを通して、どのようなことをされていきたいですか、またどのようなブランドにしていきたいですか?
より日本の文化、平和、産業と携わり、それを世界へ伝えていきたいと思っています。
blackmeansは独特な価値観を持ったブランドだと思っています。世界中の私たちとは異なるものや人の価値観を、より理解して、より日本のブランドらしく、blackmeansらしくなっていきたいと考えています。